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アグリジェント神殿の谷
アグリジェント〔Agrigento〕は、地中海を隔ててアフリカのチュニジアと向かい合う(チュニジアまで約220q)、シチリア南部に位置するアグリジェント県の県庁所在地です。(人口約59,500人)
アグリジェントの町は、クレタ島とロードス島からジェーラ(アグリジェントの西方70キロの海沿いの町)に植民したギリシャ人により、紀元前581年に築かれました。
同じくギリシャ人の植民によりつくられた町シラクーサほど勢力を拡大することは出来なかったものの、壮大な神殿群から想像できるように、紀元前5世紀頃アグリジェントの町は、非常に繁栄しました。人口が30万人くらいあったと言われています。特に、紀元前480年のヒメラの戦いで、シラクーサと組んでカルタゴを打ち破った後、アグリジェントは、戦利金でゼウス神殿を始めとする立派な神殿が築きました。
世界遺産のアグリジェント神殿の谷(=考古学公園)は、厳密には神殿が立ち並ぶ丘から、向かいの高い丘の上にある現在のアグリジェントの町の手前まで広がっています。ギリシャ・ローマ時代に町があった場所で、昔は町の回りを城壁で取り囲まれていました
ヘラの神殿
一番東側の高台にあります。
紀元前460年頃に建造された周柱式ドーリア式神殿で、ギリシャ神話の最高神ゼウスの正妻ヘラに捧げられていました。ヘラは、結婚と家庭を司る神なので、ギリシャ時代は神殿前で結婚式が行われていたそうです。
基壇とかわずかに円柱に残る白い漆喰は、ギリシャ時代に白く塗られていたことを物語っています。フリーズやコーニス、シーマは、なんと赤や黄や青の色で塗られていたそうです。今は、凝灰岩がむき出しになっているので地味です(アグリジェントやシラクーサのほとんどの神殿は彩色神殿でした!)
神殿の規模 横17m x 縦38m 高さ 15m 柱の本数 6 x 13本
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神殿は丘の上にありますが、向こうに見える現在の町がありますが、そこまでの谷の間に古代の町がありこの谷が「神殿の谷」と名付けられました
今はアーモンドの木が植えられています |
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アグリジェントの向かいはアフリカなので、この町は暑く気温も高いです
両脇にアーモンドの木が植えられていますが、日中なので木陰はありません。アーモンドの花の咲く、この谷(丘)の2,3月はそれは美しく桃源郷になるそうです。 |
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見上げるとアーモンドの実がびっしりついています
ここで、現地ガイドさんが、バッグからアーモンドの実を取りだし、一人一人に渡してくれ「これを食べると美男美女になるからさー食べて」と、それで私たちの距離が一気に縮まります。いや食べ物のせいだけでなく、話のテンポがよいのです |
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またガイドさんが、、イナゴ豆の木を見つけて、「ギリシア語でイナゴマメの実をとカラットcaratと言い、これが塩を計るための重さとして使われていましたが、ダイヤモンドの大きさを言うカラットの語源となったそうです。
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ヘラ神殿からコンコルディア神殿に行く途中、左側にギリシャ時代アグリジェントの町を取り囲んでいた城壁が崩れながらも残っているのですが、よく見ると穴が空いているものが多いです。穴は、ビザンチン時代に墓地として使用していたときの名残です。わずかにフレスコ画が残っているところもあります。
アングリジェントも、今回のG7に立候補したそうで、沢山の遺跡と景色のよい場所だということですが、タオルミナに適わないことが一つだけあったそうです。
それはホテルが、タオルミナ程ないということです。(安倍首相は50人連れ、トランプ大統領は150人ということですから)
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テンポの良い話しぶりで、おしゃれな(写真傘の人)、アグリジェンド在住の中野陽子さんはきっと名物ガイドさんなのだろうと思っていたら、今度TBSの6月20日の「世界の日本人妻は見た」と言う番組に出るそうです、 TBSの人が、「日本人ですよね」「お宅へ行ってもいいですか?」「はい」で話が決まったそうで、こういうのに出演料というのはなく、「お土産に何がいいですか?」と聞かれ「納豆」と答えたそうです。
そうしたら、「沢山納豆を頂いて冷凍にしました。」「もっと高いものを言えば良かった」と裏話をしてくれました。(笑
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コンコルディア神殿
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見えてきました、ほぼ原形を残しているコンコルディア神殿です。大きく開けた丘の上に、海を背景に、それにふさわしい美しいドーリス式神殿が建っています
コンコルディアとは、ローマ神話の、平和・調和・和解を象徴する女神の事です。紀元前5世紀半ばにディオスクロイ神に奉納する為に建てられました。ギリシャのパルテノン神殿の三分の二の大きさを誇り、42mx19.7mでシチリアでは最大級のドーリス式神殿で、屋根はないものの前面6本、側面13本の柱が残っていて保存状態が良い事で知られています。
6世紀末の初期キリスト教時代に、聖ペテロ・パウロ教会として使用され、柱と柱の間を色鮮やかな漆喰壁で塞がれていたのでそれが補強となり、後年の地震でも崩壊することなく、保存状態良く保たれたといわれています。 |
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神殿前にブロンズ像が置かれていますが、これはギリシャ神話の中のイカロスの像です。イカロスは、海の上を飛んでいる時に、太陽に近づきすぎて羽の蝋が溶けて落ちましたが、上手く渡り終えた父親のダイダロスは、アグリジェントの近くに辿りついたとされています。
(ギリシャ神話イカロスの墜落)
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どれぐらい大きさは、ガイドの中野さんと比べるとわかります
大きくて、驚きます |
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コンコルディア神殿とヘラクレス神殿の間の道の右側に、2015年からアグリジェント固有種のヤギ「Capra Girgentana」が放牧されています。西アジアの山岳地帯に住むマーコールの血を引くヤギで、螺旋状の角を持っています |
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ヘラクレス神殿 東から丘を下がってきたところにある、8本の柱が並んでいる神殿です。
ギリシャ神話の英雄ヘラクレスに捧げられていました。
紀元前520年頃建造されたアグリジェントで一番古い神殿です。周柱式ドーリア式神殿で、他の神殿よりも少し古い時代に造られているので、柱のエンタシス(中央部がいくらか膨らみを持っている)が強調され、他の神殿よりも、奥行きの柱の本数が多いです。(他の神殿は13本ですが、この神殿は15本)
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ゼウス神殿
連絡橋を渡った西側の入口にあります。
ギリシャ神話の最高神ゼウスに捧げられた神殿です。
いったいどれが神殿?と言いたくなるぐらいの石材の瓦礫の山ですが、実はギリシャ時代に建てられた神殿の中で、最も大きいものの一つです。表面積が約6300m2あり、小さいサッカースタジウムと同じぐらいの広さがあります。
ヒメラの戦いの戦勝記念に建てられたものです。
紀元前480年に神殿の建築が始まりましたが、規模が大きすぎたため、建設に年数がかかりすぎて、紀元前406年カルタゴがアグリジェントに攻めて来た時に、未完のまま崩壊しました。
昔はもっと大きな瓦礫の山だったに違いないのですが、16世紀に近くの港の堤防建設のため、神殿の石が石材として持ち出されています。
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神殿の中央には、装飾のためだけでなく、実際に円柱にかかる重圧を軽減する役割もしていた巨大な男性の柱像テラモンのコピーが横たわっています。大きな像が頭と膝までしかありません。オリジナルは考古学博物館に保管されています
人体像柱(10m以上の大きさ、転がしてある)で、手と頭で屋根を支える人の形をしています、これだけで38体あり、完成すれば世界最大のギリシャ神殿となるはずだった、ゼウス神殿です。
神殿の規模 横56m x 縦113m 高さ 33m 柱の本数 7x 14本
現在の町、高台にありますが、昔からあの地域には豊かな水が湧きだしているということです、紀元前の建造物の対比が凄いですが、違和感はありません。時空間がすでにわからなくなっているようです。
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